日常は気付きの宝箱

徒然なるままに、書きたいことを書いています。将棋・読書・アニメなどなど。

将棋の勝ち負けの決まり方、知ってますか?【反則負け編4〜王手千日手〜】

将棋のルールを考察するこのシリーズ。

反則負け編も4回目に突入しました。
この記事が初めての人は、ぜひ最初からご覧ください。

kicktan.hatenablog.com

 

さて、今回取り上げるのは王手千日手です。

王手千日手

 

早速定義を調べてみました。
例によってwikipediaより。

千日手の手順において連続王手(一人の手順が全て王手である)の場合は王手を仕掛けている側が千日手の成立条件を満たした際に反則負けとなる

 

実戦で経験したことがある人は少ないと思います。練習将棋で該当の局面になって、それは王手連続だから負けだよ、って言われることはあるかもしれませんが。

さて、なぜこのようなルールが生まれたのか。
負けている方が王手連続の千日手で引き分けにしたらずるいから、だと思います。

調べてみました。

このような記事を見つけました。

bunshun.jp

 

ここの記述を引用します。

明治時代は千日手そのものが反則だった。どのような規則かというと「攻めているほうが手を変えなければいけない」。

〜中略〜

「攻めているほうが手を変えなければいけない」の名残が、連続王手の千日手は禁止となったのではないだろうか。王手ならば明らかに攻めていると判断しやすいからだ。

 

この説明が一番すっきりしました。
元々千日手が引き分けでなく反則であったのは、勝負から逃げているという感覚だったと推察されます。

ただそれだとどっちが逃げてるのかが分からなくて・・・だと思うのですが。
その続きは上記の記事をご覧ください。

 

さて。

大会等で王手千日手に遭遇したことはありません。プロの将棋でたびたび登場することもあったようですが、今回私がとりあげようとするのは少し違います。

 

プロの将棋で出てきた記事はこちら。

news.yahoo.co.jp

 

実戦の筋で出てくるのはほんと興奮ものです。 

いつか自分もこういう展開を指したいものですね。

 

 

 最後の審判

本題に参ります。

この名前でピンとくる人は多いと思います。そうです、詰将棋です。
何が最後の審判なのか、きちんと説明できるでしょうか。

 

参考記事(作者自身の解説です)

www2u.biglobe.ne.jp

 

参考動画

youtu.be

 

ここでは図面は取りあげませんが、以下のような問題です。

受け手が最善を尽くすと、攻め手側が王手千日手になってしまう。
ただ、その最後の受けた側の手が「歩を打った王手」なんですよ。

その歩を取ると王手千日手だから取れない。でも、取る以外の手が無い。

 

つまり、この歩打ちは打ち歩詰めである。

 

それがこの詰将棋の「主張」です。

打ち歩詰めになるから、歩を打てないために他の手を指し、詰み筋が生じるわけです。

詳しい手順などは上記の動画をみていただけるとわかりやすいかと思います。


これ、非常に興味深いテーマだと思いませんか?

 

以前取りあげた

kicktan.hatenablog.com

 

ここでの「歩を打って王手じゃ無いけど詰みの状態を打ち歩詰めと呼ぶのか」と同じく、ルールの不備?をついた問題です。

実戦では全く現れることの無い状況です。

それでも、実際に同じ状態になった時にどのような判定が下されるのか。

考えてみました。

 

1.王手千日手になるから攻め手の負け説

王手千日手がどこで勝敗の決定がなされているかを考えると「同一局面が4回成立した時」だと思うんですよ。(千日手と同様です)

なので、今回のケースでは最後の歩を取った瞬間に判定されるということです。
上記した受け手の歩を打った局面は歩を取ることが出来るため、詰みという状況には当たらないため打ち歩詰めでなく、攻め手としては取るか投了しか無い。
ので攻め手の負けであるという主張。

2.打ち歩詰めだから受け手の負け説

元々の主張ですね。つまり、例の歩を打った局面が「詰みである」という主張。

どう指しても負けだから、それは詰みであるということですね。

とすると、以前の検証と食い違いが生じると思っています。(以前の検証については上記した打ち歩詰め編をご覧ください)

将棋クエストにおいて自動終了されない状態を「詰みでは無いけど負けの局面」と私は認識しております。おそらくこれと同じ状態だと思うんですよ。

これも同じく「どう指しても負け」の局面なのですが、詰みでは無いわけです。

ので、打ち歩詰めには当たらないのでは無いか?

というのが私の主張です。


さて。

論より証拠。

 

早速検証してみました。

【検証方法】

将棋ウォーズアプリにて、最後の審判と同じ局面を作る。
手順通りに進めていって、アプリ内でどう判定されるかを検証する。

 

【検証結果】

画像で見せた方が早いと思います。

検証の結果は・・・

 

 

f:id:kicktan:20201113191336j:plain

最後の審判@将棋ウォーズ

 

なんと、先手の反則負けでした!

 

つまり、先ほどの仮説の

1.王手千日手になるから攻め手の負け説

で触れた、「勝敗の判定がその手を指した瞬間」が

将棋ウォーズでは採用されているということですね。

ちなみに、通常の王手千日手も最後の手を指した瞬間に負けの判定でした。

 

打ち歩詰めであるならば打てないはず(上記打ち歩詰め回を参照ください)なんですが、打つことが出来たので将棋ウォーズとしては打ち歩詰めではないということでしょう。

 

これはあくまで将棋ウォーズにおいての処理ですので、実際のルールもそうだと言うつもりはありません。
ただ今までどちらの説が正しいか、というのは不定であると認識していたので一つの結果を出せたことは満足しています。



以前の検証と同じく、非常に興味深い結果となりましたね。

いずれ検証系をまとめた記事を作ろうと思ってます。

 

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ほとんど最後の審判についての記事になってしまいました。
こういうルールに触れるような話題は大好きです。

それではまた次回。

 【追記】

最後の審判について、このような記事を見つけました。

note.com
私と同じような観点で見ているので、こちらの方がよりわかりやすいと思います。

 

次回、二手指し編はこちら。

kicktan.hatenablog.com