将棋の勝ち負けの決まり方、知ってますか?【反則負け編5〜二手指し〜】
今回取り上げる反則は二手指しです。
前回はこちら。
二手指しとはその文字のごとく、
相手の手番に自分が指すこと、後手なのに先に指すこと。
そんなことある?と思いますよね。
単純ですが、意外と実例はありました。
プロの実例。
あえて編入試験組の記事を持ってきました。ドラマがあるものですね。
「読んでいたら次の手でなくその先の手を指してしまった」という話をよく聞きます。
王手放置編でも取り上げると思いますが、おそらく、実際の盤面と脳内将棋盤が被って見えているんでしょうね。
プロだからこその反則だと言えると思います。
アマチュアではなかなか起こらないです。少なくとも私は遭遇したことがありません。
上記した今泉四段の記事には、このようなエピソードがあります。
指したと思ったら相手の時計が進んでいて、相手の手番だったから負けた。
あまりに集中していたんでしょうね。
でもこの事例、余計な心配をしてしまうんですよ。
例えば、相手が対局時計を押し忘れていた場合はどうでしょう?
この記事でも言及しましたが、着手完了は駒から手を離れた時であり、対局時計を押した瞬間ではありません。
ので、対局時計の押し忘れはそのものは関係ないはずなのですが・・・
つまりこういうことです。
実際の手番は自分。相手が指した際に対局時計を押していなかったとします。
そこで自分が指した場合に「対局時計が押されていないから自分の手番だ」と相手が主張した場合どうなるでしょう?
もしくは、対局時計が押されていないから相手が自分の手番だと勘違いして指した場合はどうなるでしょう?
前者は相手の主張は無効、そのまま対局は続行。
後者は相手の二手指しにあたるため反則負け。
こうなると思います。
でも、それを客観的に証明できるでしょうか?
第三者が見ていればわかりますが、そうもいかないですよね。
その直前の手がなんだったか指摘しても、指した指さないのトラブルになりかねません。
私だったらどうするか。
初手から再現します。
容赦無く二手指しであることを突き付けます。
ただ、なかなか現実的には難しいですよね。
緊迫した状況でとっさにできるとは限らないですし。
ただ、根本的に防ぐのは簡単です。
対局時計をチェックしておけばいいんです。
押してなかったら、押し忘れを指摘して押して貰えばいいんです。
これも、悪意ある反則を防ぐための知識です。
【二手指しに関するエピソード】
なぜこんなことを思ったかというと、
私は学生時代にできる限り時間を稼ぐべく
対局時計の押し忘れを指摘してませんでした。
相手が押してないのに気付いたら、考えるふりをしてなるべく相手の注意を盤面に向ける。
そのうち相手が気づくので、言われてみれば押してないですね、と気づかなかったふりをして進行する。
そんなことをしていました。
いかにも気付いてました、感だと心象も悪いのでこちらも少し時間を使ってから指すのですが。
ま、そこまでしても勝利が欲しかったわけです。
10回は押し忘れを経験してます。ただ、そのいずれも最初に述べたような二手指し疑惑にはなりませんでした。
ので杞憂だとは思うんですが。
集中をすればするほど、エアポケットが起こるもの。
その時に反則が生まれるわけです。
盤上にも、盤外にも意識を常に向けておきたいものですね。